非公開にしたSSもここで復活したりして……
- seahope0502
- 2021年8月26日
- 読了時間: 5分
以前創作さんのイベントに参加して『手』に関する200文字という字数制限でSSを書きました。クイズ形式で、誰が書いたのかあてるものでした。皆さんにはこれが私の作品だって分かりますか。
俺だけの手
ホテルに入るなり、お前の右手を握りしめた。
「俺だけのものだ!」
「どうした?」
「今日は他の奴に沢山触れさせたな」
「…握手も仕事だ」
嫌だ……
「言わなくても分かっている…抱くぞ」
俺を引き寄せ、ベッドへと雪崩れ込む。
揺さぶられ繋がるために浮かぶ腰。
不安定で怖いのに、お前が大きな手の平でぐっと背中を支えてくれるから、いつだってこの身体を投げ出せる。
逞しい手は、やはり俺だけのものがいい。
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これを更に1,800文字の短編にしたものがこちらです。
以前fujossyさんで公開していたのですが、削除したのでこちらに置いておきます。
今回HP転載にあたり一部加筆しました。といっても……書いたのが3年以上前なので文章字体が……あれですが、ここで供養させてください❤
プロ野球選手×スポーツ雑誌の記者
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「湊(みなと)待ったか」
ホテルのロビーに颯爽と現れた航(コウ)は、いつものジーンズではなくスーツ姿だった。185cmという高身長にダークグレーの仕立てのよいスーツを着こなして、行き交う人が思わず見惚れる程の美丈夫だ。
大理石の床に、力強い足音が小気味よく響いていた。
「いや……あの、なんでスーツ?」
「あぁ今日は例のファン感謝デーで、全員スーツで出社しろってお達しだったからな」
「あぁなんだ……あれか」
途端に一年前の嫌な記憶が過る。
プロ野球選手である航がユニホームを脱いでスーツ姿で登場したのは、球団母体である会社の株主相手のイベントだった。ファンの女性陣に囲まれ愛想を振りまくお前の姿を、記者として遠くから見つめていることしか出来なかった。
握手を求められればすぐに応え、写真にも笑顔で納まっていくお前を見るのが苦しくて、途中で逃げ出すように会場を後にしたんだ。
いつまでも嫉妬深いのは俺の方。
仕方が無い。あれは仕事だと必死に言い聞かせたのに、一年経っても同じ気持ちになってしまうなんて、俺は本当に成長しないな。
「ほら、行くぞ」
「えっ……どこに?」
「二人きりになれる場所に行きたい」
ルームキーを事前に用意していたらしい航は、誰の目を気にすることもなく悠然と歩いて行く。でも……そんな航の横に並んで歩く勇気はなくて、距離を置いて付いていくのがいつもの習慣だ。
はぁ……全く男と男の恋はややこしい。
「航……っ」
ホテルの客室に入るなり、思わず航の右手を握りしめてしまった。
ボールを掴むために生まれて来たかのような分厚くて大きな手だ。使い込みマメの痕が残る指先を丁寧に撫でていく。
ああ、血が通って温かい航の手だ……俺の航の手だ。
「湊?」
「航の手は、俺だけのものだ」
「一体、どうした?」
「今日は他の奴に沢山触れさせたな」
「……握手も仕事だった」
( 嫌だ…)
「ふっ……湊、言わなくても分かっているよ。抱くぞ」
大きな手で、いともたやすく俺の腰を引き寄せてくるので、そのままベッドへもつれるように雪崩れ込んだ。
「航っ……待って、お前のスーツが皺になってしまう!」
「湊を抱く方が大事だ。スーツなんてどうでもいい」
首元のネクタイをクイッっと緩めた航が、俺の上で微笑んだ。それならばと、俺も航のネクタイに手をかけ誘う。
「じゃあ……来て」
「ふっ、湊も大胆になったな。可愛い奴だ」
航の太い指先が俺の着ていたシャツのボタンを、じれったそうに外していく。
お前の相手、本当に俺なんかでいいのか。
そんな不安も航が激しく求めてくれると飛んでいく。
あっという間に裸に剥かれ、シーツの上に身体をポンっと置かれる。
航のごつい指先で中を弄られ解されれば、飛び上がるように感じてしまう。
航の大きな手が、野球の球ではなく俺の震える腰を掴むと、腰がふわりと浮いた。
その浮いた腰は、航の昂る身体と密に合わさって……そのまま擦るように揺さぶられていく。
「あっ……いい……」
大柄の航の、獰猛なまでの動きに翻弄されていく。
「あ……あ」
ぐっぐっと揺さぶられ、繋がるために浮かぶ腰だ。
「航……航っ……」
「なんだ?」
「しっかり支えていてくれ!」
「あぁ分かった。だから湊は何も心配するな」
そのまま航が、俺の全てを支配していく時が延々と続く。身体が宙に浮いたようで不安定で怖いのに、お前が大きな手の平でぐっと背中を支えてくれるから、いつだって俺はこの身を投げ出せる。
「あぁっ」
やがて俺の蜜も白濁もシーツへと滴り共に果てた後、整わない呼吸に胸を喘がせていると、視界を遮る大きな手を感じた。
「な……に?」
汗で濡れた俺の額に、航が手を当てているのだ。
「大丈夫か。酷くしたか」
「いや……やっぱりいいな、お前の……」
「何がだ?」
「航の逞しい手は……俺だけのものがいい」
ふっと航が微笑み、俺の頬を包み優しいキスをくれる。さっきまで獰猛な航はもういなくて、ひたすら俺を甘やかす時間が来たようだ。
「なぁ……俺のスーツ姿もたまにはいいだろう?」
「うーん、どうかな。やっぱりユニホームでマウンドに立っている航がいい。あそこは誰も気安く触れられない神聖な場所だから」
「なんだ欲張りだな、湊に見て欲しくて、脱がずにそのまま来たのに」
「俺は欲張りかな?」
だって……あんな美丈夫なスーツ姿。誰にも見せたくない。航のことが好き過ぎて堪らない。あぁ.なんだよ。これじゃ独占欲の塊だ!
「分かってるよ……全部、湊……可愛いヤツ」
航の手が再びなだめるように優しく、額に触れてくれる。
「湊……今日は泊っていくぞ。俺……まだ出し切れてない」
「いいよ。お前の体力に……俺も限界まで付き合う」
獰猛なまでに逞しい手。
労わるように優しい手。
どちらも俺だけのものだ。
俺の恋人は野球選手。
とびっきり大きな……逞しい手の持ち主だ。
「俺だけの手」了
うみさんのお話だったのですね。先日オリンピックをTV観戦しながらそう言えば‼️とお話を思い出したのですが、なぜかうみさんのお話と認識していなかったような。恐らくあの頃はもっぱら他のサイトの住民で、たまたまフジョさんで見つけた素敵なお話に栞を挟んだのだったかしら。記憶違いならごめんなさい。 で、実はどのサイトを探しても見つからず諦めていたところでした。 こんなにうみさんのお話に毎日の糧を戴いているのに、ボケボケのファンで失礼致しました。 でも、作者様のお名前を思い出さなくても趣味趣向は変わらないんだなとシミジミ。…長文で中身の無いコメントで重ねて失礼致しました。
仕事だとわかっていても誰にも見せたくないかっこいい彼の姿。たくさん妬けちゃうけど部屋の扉の向こうからは自分しか知らない愛しい姿だね!
独占欲と嫉妬心💓海さんワールド全開ですね✌
海さんとプロ野球選手何となくイメージがわかないわなんて思ってみたり💦
でも。読んでいくとやっぱり受けくん可愛い💕
独占欲と嫉妬心。
それを忘れさせてくれるような強引で力強く大きな右手💓💓
ファンの彼から、湊だけの航に戻る時間絵が浮かびますね💕